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脳血管内治療

脳梗塞発症から8時間以内で可能な、
「切らずに治す」治療法です。

脳血管内治療(あるいは脳血管内手術)は、脳動脈瘤や脳梗塞などの脳血管性病変に対して、ごく細いカテーテル(径0.7~1mm程度)をX線透視下に観察しながら、主に大腿部から頭蓋内動脈などの病変部に誘導して行う治療法です。

脳血管内治療の対象となる主な疾患

  • 1. 脳動脈瘤(破裂性脳動脈瘤・未破裂脳動脈瘤・解離性椎骨動脈瘤)
  • 2. 頚部頚動脈狭窄症
  • 3. 頭蓋内主幹動脈狭窄(内頸動脈狭窄・椎骨脳底動脈狭窄)
  • 4. 脳塞栓に対する局所線溶療法(脳動脈血栓溶解術)

当院における脳血管内治療の実績

脳動脈瘤
コイル塞栓術
頭蓋内及び
頚部血管形成術
(ステント留置術他)
脳動脈
血栓溶解術
その他
2003.03~2003.12 10 22 7 11 50
2004.01~2004.12 32 9 10 29 80
2005.01~2005.12 15 17 8 6 46
2006.01~2006.12 25 36 12 12 85
2007.01~2007.12 20 20 7 16 63
2008.01~2008.12 13 17 9 6 45
2009.01~2009.12 21 18 5 0 44
2010.01~2010.12 23 22 0 1 46
2011.01~2011.12 15 31 0 0 46
2012.01~2012.12 25 28 0 2 55
2013.01~2013.12 35 26 0 3 64

高気圧酸素療法

血液中に多くの酸素を送り、傷ついた組織を直します。

高気圧酸素療法とは、大気圧よりも高い気圧環境の中に患者様を収容し、高濃度の酸素を吸入する事によって病態の改善を図る酸素療法です。いかに効率よく、血液のヘモグロビンに酸素を結合させるかを目指す治療法です。したがって、ヘモグロビンが完全に酸素に結合されてしまうと飽和状態になり、それ以上の酸素を生体に供給することはできません。
高気圧酸素療法では、血液中の溶解酸素量の増加を目的とするため、高気圧下で純酸素を吸入する事によって飽和状態になった後も生体に酸素を供給する事ができ、その量には限界がありません。このような多量の溶解酸素を利用して各種の低酸素症を改善し、症患治療に効果を挙げようとする治療法が高気圧酸素療法なのです。

高気圧酸素療法の写真高気圧酸素療法の写真

高気圧酸素療法の効果

  • 1.生体内低酸素改善

    一酸化炭素中毒 / 難治性潰瘍 / 低酸素性脳障害 / 脳梗塞 / 突発性難聴 / 網膜動脈閉塞症 / 重症の急性脊髄障害 / 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害 / 皮膚移植 放射線又は抗がん剤治療と併用される悪性腫瘍 / 脊髄神経疾患 / 重度頭部外傷若しくは開頭術後の意識障害又は脳浮腫 / 骨髄炎

  • 2.過剰酸素の薬理作用による抗菌

    嫌気性細菌感染症 / ガス壊疽 / 慢性難治性骨髄炎 / 骨髄炎

  • 3.生体内気圧の圧縮・溶解

    減圧症 / 腸閉塞 / 空気塞栓症

脳動脈瘤

患者様の動脈瘤の形を総合的に判断し適切な治療を行います。

イメージ図脳動脈瘤と呼ばれる、脳の血管にできるいわゆる“コブ”が破れれば「くも膜下出血」と呼ばれる死亡率の高い恐ろしい病気になってしまいます。脳動脈瘤が破裂する率は、年間だいたい1%程度と言われています。もちろん破裂しないで経過するタイプもあり、破裂しない場合は特に症状がなく経過し、脳検診や脳ドックで発見されるケースが多いです。破裂をすれば(くも膜下出血になれば)治療はほぼ必須ですが、破裂をしない場合でも予防手術を行う事が可能です。

治療に関して大きく分けると、実際に開頭して顕微鏡下に動脈瘤の頸部をチタン製のクリップで挟む「クリッピング術」と、カテーテルを使用し動脈瘤の中にプラチナコイルを詰め、瘤内を閉塞させてしまう「血管内手術」が挙げられます。それぞれに長所・短所があり、患者様の動脈瘤の形、大きさ、発生している場所などを総合的に判断して適切な治療方針を立てています。

頭部外傷

「穿頭ドレナージ術」と呼ばれる簡易手術で劇的に改善

イメージ図頭部外傷後に外科的治療が必要なケースは「急性」と「慢性」に大別されます。急性は例えば、頭部打撲により脳の表面と脳を包んでいる硬膜との間に血腫ができる「急性硬膜下血腫」や、硬膜の外側と骨の間に血腫が形成される「急性硬膜外血腫」が挙げられ、それぞれ脳を圧迫することによって意識障害、麻痺など重篤な症状を出します。この場合は一刻も早い手術(開頭血腫除去)が必要になります。

また、慢性期に問題になるものとして「慢性硬膜下血腫」が挙げられます。これは数週間~数ヶ月の軽微な外傷が契機になっている事が多く、その後にゆっくりと皮膜をともなう血腫が脳と硬膜の間に形成され、脳を圧迫することにより症状が出現します。頭痛やひどい方では麻痺、意識障害などを生じることもあります。ご高齢の方で最近認知症の症状が進んだと思われる方でも、CTなど画像検査を行った場合に度々血腫が見つかる場合があり、一般には穿頭ドレナージ術と呼ばれる簡易手術で劇的に改善することが多くあります。

脳腫瘍

患者様のADL(生活の自立度)、QOL(生活の質)を大切にした外科的治療

イメージ図脳腫瘍においても、基本的には外科的加療を中心に施行しております。良性腫瘍の代表的なものとして「髄膜種」「下垂体腫瘍」「聴神経腫瘍」などが挙げられます。

手術で腫瘍を可能な限り切除することは重要ですが、大きさ、場所などが許せばガンマナイフなどの使用も考慮に入れております(この場合は紹介する形をとっています)。また、術後の後治療でガンマナイフなどを利用する場合も同様です。最近は、ご高齢で発見される脳腫瘍も多く見受けられております。代表的なものとして「神経膠芽腫」が挙げられます。基本的に予後が悪く、現在の医療では残念ながら完治は不可です。

脳神経外科の領域において治療は日進月歩ですが、この腫瘍に関してはこの数十年で大きな成果を挙げられていないのが現実です。ご高齢の方が増加した現在、治療適応が難しくなってきております。その中での腫瘍除去に関して大きなウエイトがあると考えますが、基本的に患者様のADL(生活の自立度)、QOL(生活の質)を落とさぬよう外科的治療を行っていきます。
術後の加療(放射線、化学療法)も考慮されますが、これに関してはご家族と十分な話し合いを持ち、検討・決定していきたいと考えております。

機能的脳神経外科

顔面の痛み・痙攣などに対して行う治療

「機能的脳神経外科」は、比較的聞きなれない領域かも知れません。この領域では、基本的には顔面の痛み・痙攣などに対して行う治療を指します。

当院で施行している疾患としては「顔面けいれん」「三叉神経痛」などの治療を主に行っています。原因は顔面神経、三叉神経に血管が走行的異常などで触れることによって起こりうるため、圧迫を解除する治療です。神経血管減圧術と呼ばれ、医療用の細い綿などで血管を移動させ、神経との隙間を作ってやります。効果が得られれば、術後より痛み、痙攣は劇的に改善します。

イメージ図

各種検査技術

  • CT検査

    CT検査

    X線を使用して身体の断面を撮影する検査です。脳の検査では、脳内出血や脳梗塞、脳挫傷などがわかります。検査の所要時間は約5~10分です。

  • MR検査

    MR検査

    身体の任意の角度の断面を撮影するMRI、血管内を血液が流れる様子を抽出するMRA等で、多種多様な撮影が可能です。頭部の撮影ではMRIとMRAを撮影する場合では約15分の検査時間となります。超早期における脳梗塞の診断に威力を発揮します。

  • 脳血流動態検査(Xe-CBF)

    脳血流動態検査(Xe-CBF)

    安定元素のXeガスを吸入しながらCT撮影を行い、CT値の変化によって脳血流を調べる検査です。Xeガスは麻酔効果があり、吸入するとお酒を飲んで酔ったような感じになります。検査の所要時間は約15分です。

  • 脳血管撮影

    脳血管撮影

    足のつけ根から動脈にカテーテルを入れて、脳を潅流する血管を選択し、造影剤を注入して血管を調べる検査です。当院の装置は3D撮影が可能で、血管を立体的に観察することができます。また、この装置を用いての血管内治療も行っています。